あなたを守りたい
男との遭遇
「おはよう」
「おはようございます」
「黒沢くん、夕べはありがとね」
「いえ」
僕は挨拶を済ませると、エレベーターに乗り込んだ。
扉が閉まる前、受付の所で楽しそうに話してる金子さんと彼女の姿が見えた。
僕も、あんなに気軽に話せたら、どんなにいいだろう。
「オッス」
「おはようございます」
少し遅れてロッカーにやって来た金子さんが近づいて来た。
「お前、千春ちゃんの帰りを待っていたのか?」
「えっ?」
「七時頃会社を出たよな? 彼女の話に合わせて残業した事にしたけど、本当はかなり待っていたんじゃないのか?」
「すみません。けっこう待ってたんですけど、今来た所だって嘘付いちゃいました。でも結局迷惑がられてしまいましたが」
「お前、やっぱり告白しろよ。中途半場だから千春ちゃんもどうしていいんだかわかんないんだよ」
「・・・自信がないんです。それにまだ彼氏と別れたわけじゃないし」
「彼氏の事はもういいじゃん。見たところ、絶対千春ちゃん、お前に心が傾いているって」
「・・・」
「当たって砕けろ」
「砕けるのはちょっと・・・」
「それはそうだな。だけど、告白したら絶対上手くいくって」
「考えときます」
当たって砕けてはいおしまいじゃ、もう立ち直れないかもしれない。
僕の中で、彼女の存在は大きなものになっていた。
それからしばらくは何の進展も無く、僕も新規開拓を始めたばかりで心に余裕が無かった。
あっという間に金曜日となり、明日は彼女がジムに行くと言ってた土曜日だ。
「あれっ? 黒沢くん今日はもう帰るの?」
6時半に机の上を片付けてジャケットを手にしたところで、事務所を出ようとしている千春さんと出くわした。
「9時にお客さんと約束をしているから、その間に家で飯を食べてしまおうかと」
「約束、遅いのね」
「店が閉まってからなので、仕方ありません」
先輩営業マンもだいたいそんな感じだ。
まあ、僕のように一旦家に帰ってから出直す人はいなかったけど、事務所に居ても時間を持て余す。
それに、約束しているお客さんは、自宅から行った方が近い。
僕は、新規開拓の地として、自宅周辺を中心に回っていた。
「それじゃ、一緒に帰らない?」
「いいですよ」
「おはようございます」
「黒沢くん、夕べはありがとね」
「いえ」
僕は挨拶を済ませると、エレベーターに乗り込んだ。
扉が閉まる前、受付の所で楽しそうに話してる金子さんと彼女の姿が見えた。
僕も、あんなに気軽に話せたら、どんなにいいだろう。
「オッス」
「おはようございます」
少し遅れてロッカーにやって来た金子さんが近づいて来た。
「お前、千春ちゃんの帰りを待っていたのか?」
「えっ?」
「七時頃会社を出たよな? 彼女の話に合わせて残業した事にしたけど、本当はかなり待っていたんじゃないのか?」
「すみません。けっこう待ってたんですけど、今来た所だって嘘付いちゃいました。でも結局迷惑がられてしまいましたが」
「お前、やっぱり告白しろよ。中途半場だから千春ちゃんもどうしていいんだかわかんないんだよ」
「・・・自信がないんです。それにまだ彼氏と別れたわけじゃないし」
「彼氏の事はもういいじゃん。見たところ、絶対千春ちゃん、お前に心が傾いているって」
「・・・」
「当たって砕けろ」
「砕けるのはちょっと・・・」
「それはそうだな。だけど、告白したら絶対上手くいくって」
「考えときます」
当たって砕けてはいおしまいじゃ、もう立ち直れないかもしれない。
僕の中で、彼女の存在は大きなものになっていた。
それからしばらくは何の進展も無く、僕も新規開拓を始めたばかりで心に余裕が無かった。
あっという間に金曜日となり、明日は彼女がジムに行くと言ってた土曜日だ。
「あれっ? 黒沢くん今日はもう帰るの?」
6時半に机の上を片付けてジャケットを手にしたところで、事務所を出ようとしている千春さんと出くわした。
「9時にお客さんと約束をしているから、その間に家で飯を食べてしまおうかと」
「約束、遅いのね」
「店が閉まってからなので、仕方ありません」
先輩営業マンもだいたいそんな感じだ。
まあ、僕のように一旦家に帰ってから出直す人はいなかったけど、事務所に居ても時間を持て余す。
それに、約束しているお客さんは、自宅から行った方が近い。
僕は、新規開拓の地として、自宅周辺を中心に回っていた。
「それじゃ、一緒に帰らない?」
「いいですよ」