あなたを守りたい
「眩しい・・・」

 朝から晴天だった。
 あとでやろうと思っている洗濯も、外に干したらお昼にはもう乾いてしまいそうだ。

 僕の土曜日は、いつもより遅く起きて、洗濯機を回している間に遅めの朝食を摂るところから始まる。
 それが済むと掃除機を掛けて、それから特に当てはないけど車で出かける。
 昔は、大学の友人を誘ってドライブに行く事もあったが、今では土曜日も仕事のやつが多くて、1人で過ごす事がほとんどだ。
 元々ドライブは好きだし、平日はなかなか自分の車に乗る機会が無いので、土日を中心にその辺を走り回る。
 もし、昨日千春さんが誘ってくれたように、土曜日にジム通いを始めたなら、もっと有意義な1日を送れそうだ。
 やっぱり、行ってみようかな。

 という事で、いつもと変わらぬ土曜日の朝を過ごした僕は、12時前に家を出た。
 行き先は決まっていない。
 だけど、気が付けば彼女のマンションの前まで来ていた。
 今日は用事が出来てジムには行かないと言っていた。
 もう家を出たのかな。

 車を停めて彼女の部屋を見上げた。

「あっ・・・」

 彼女だ。
 彼女が窓からこちらを見ていた。
 マズイ。
 また迷惑がられてしまう。
 僕は、ここにいる理由を必死に考えた。
 と、その時、彼女の後ろから別の人物が顔を出した。
 男だ。
 もしかして、あれが彼氏だろうか。
 男は、彼女の肩に手を回しながら、何やらにやついた表情で彼女に話しかけていた。
 彼女に夢中になっている男は、幸いにも僕の方を見る事はなかった。

「寄りを戻したみたいだな」

 半分安心した。
 そして半分心が砕けた。

 その時だった。
 男の手から逃れるように身をよじった彼女は、どういうわけだか僕の方を指さした。

「えっ?」

 と、男がこちらを見る。

「えっ? 何?」

 脈が速くなる。
 どういう事?
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