あなたを守りたい
「僕、一生あなたを守りたい。守らせて下さい」
「えっ? それってプロポーズ?」

 わっ!
 僕は一体何を言ってるんだろう。
 自分の事を好きになってもらえるとは思っていなかった。
 そんな彼女から好きだと言われ、思わず口走った言葉に後悔した。

「すみません。変な事を言いました。好きだと言われ、舞い上がってしまいました」
「・・・」
「ごめんなさい。今言った事は取り消します。だから、僕と付き合って下さい」

 あー、何言ってるんだろう。
 彼女、引いちゃったじゃないか。
 これで嫌われたら立ち直れない。

「それがあなたの本心なら、喜んでお受けします」
「えっ?」
「出会ってそんなに経ってないけど、付き合わなくてもあなたの事はよくわかったわ。だから、結婚しましょ」
「ぼ、僕でいいんですか?」
「あなたこそ、こんな私でいいの?」
「もちろんです。あなたじゃないとダメです」

 もう一度彼女の腕が肩に回る。
 僕はその体をぎゅっと抱きしめた。

 大好きな人が僕の腕の中にいる。
 夢じゃない。
 確かにここにいるんだ。

 そっと体を離し、彼女の瞳を見た。
 そのくるりとした大きな瞳が潤んでいる。
 そして、僕は彼女とキスをした。

 どれくらいそうしていただろう。
 我に返って、今更ながら緊張してきた。
 彼女も何だかそわそわしている。

「こ、これからどうしようか」
「あ、そういえば僕、買い物に行こうとしてたんです。今晩の食材が何も残ってなくて」
「だったら、一緒に行きましょう。私が何か作ってあげるわ」
「本当ですか!」

 嬉しい。
 彼女の手料理が食べられるなんて、今日は最高に幸せだ。

「行こっ」

 僕たちは手を繋いで外に出た。
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