婚約者はホスト!?⑤~愛しい君へ~
暫くして、圭司が二人分のラーメンチャーハンセットを持って戻って来た。
圭司はこんな場所でラーメンを運んでても、さまになるもんだな~と関心してしまう。
歩く度に、子供を連れたママ達を仕切りに振り向かせていた。
「はい なつはミニチャーハンにしたから…」
「うん ありがとう じゃあ いただきます」
目の前に置かれた瞬間、私はラーメンを勢いよく食べ始めた。
「なつ そんなに慌てて食べたら喉に詰まらすぞ…?」
私の早食いに驚いて、圭司が目を丸くした。
「だって、もうすぐ勇斗がお腹空かして起きる頃だもん 離乳食とミルク飲ませてたら、ラーメン伸びちゃうでしょ だから、今のうちにと思って」
「そういう事か… いいよ 起きたら俺が食べさせるから、なつはゆっくり食べてていいよ…」
「えっ… でも」
「いいんだよ ここ最近、ずっと勇斗のこと任せっきりにしてるしさ… いつも大変だろ? ごめんな でも、もう少しで立ち上げの仕事も終わらせるつもりだから… もうちょっと待っててな…」
「うん 分かった ありがとう」
大丈夫だよと笑った瞬間、圭司が私の方に身を乗り出して私の口にチュとキスした。
「ちょっと、圭司… ここ、フードコートだよ」
慌てて周りを気にする私を見て、圭司はクスクスと笑った。
「ごめん つい愛しくなって…」
「も~う あそこのテーブルの家族に絶対見られたんだから~」
ぷくっと頰を膨らませた私に、圭司はごめんねとイタズラっぽく笑いながら、チャーハンを口に運んだ。
うん 大丈夫…
私達はこんなに上手くいってるんだから…
何も心配なんていらないよね…
もう、いい加減、北川さんのことなんて忘れよう…