婚約者はホスト!?⑤~愛しい君へ~
圭司はそんな私を胸に抱き寄せながら、更に話を続けた。
「でも、北川には、しっかり交換条件出されちゃってさ…」
「えっ? 交換条件?」
私は顔を上げて圭司を見た。
「うん その頃さ、北川はまだ三崎に片想中だったんだけど、彼をプロジェクトチームに参加させて欲しいって言ってきたんだよ。三崎ってさ、仕事はできるんだけど、人が良いいのか要領がわるいのか手柄を人に持ってかれるタイプでさ、会社からも全然評価されてなかったんだよ。だから、もし、この仕事を短期間で成功させられたら、その功績者を三崎ってことにしてあげてくれって…それが北川の出した条件だったんだよ。その為なら、自分はいくらでも俺に協力するからって言ってきてさ… まあ俺は、このプロジェクトを早く無事に終わらせられれば、それでよかったから、その条件を吞んだんだけど…」
「そうだったんだ でも、北川さんって、よっぽど三崎さんの事が好きだったんだね… そこまでするなんて…」
「ああ 入社してから五年間も秘かに想い続けてたらしいからな…」
「えっ! あの熊さんに五年間も!?」
「ハハハ 熊か 確かに… まあ、その熊男の方も五年間北川を好きだったらしいけど、またこれが驚くほど鈍感な男でさ… 俺も二人見てて歯がゆくなっちゃって、北川に言ったんだよ 俺がお膳立てしてやるから、ちゃんと告れって… で、一ヶ月後、ようやく二人はくっついたんだけど、俺と北川が三崎のことをコソコソ喋ってたせいで俺と北川が噂になっちゃてたんだよ… 北川も北川で三崎とのこのとを隠したがって否定しないから…どんどん噂が大きくなっちゃってさ… なつの耳にまで届いちゃったんだよな… ごめんな 不安にさせて 俺が甘かった…」
私は圭司の胸の中で、ブンブンと首をふった。
「それから なつ…」
「ん?」
再び顔を上げると、圭司が優しく笑って言った。
「誕生日おめでとう」
そっか…
もう、12時もとっくにすぎてるもんね…
「うん ありがとう でも、ごめんね せっかく色々考えててくれたのに、浮気だなんて大騒ぎしちゃって… ディナークルーズも私の為だったんだね… 私、てっきり北川さんと行くんだとばかり 本当にごめんなさい…」
「いいよ 紛らわしいことした俺にも責任あるから でもピンタして家を出てくのは、もう、二度と勘弁な… あれやられると、精神的にかなりキツイから」
そう言って笑う圭司の頰には、うっすらと赤い痕が残っていた。
「うん ごめんね…」
そっとその痕に手を触れると、圭司が優しく私に口づけた。
そして、そのままゆっくりと私をソファーに押し倒した。
「圭司… 実家だから マズいよ…」
「うん 声我慢して…」
「そうじゃなくて いつ降りてくるか分からないから…」
「スリルあって、燃えるな」
「もう、そうじゃなくて… ん あっ」
首筋を舐められて、思わず甘い声が漏れてしまった。
「もうなつだって、こんなになってるじゃん…」
「だって… 圭司が… んっ はあん あっ」
「なつ 声我慢…」
「分かってるけど… あっ」
「シー…」
結局、私は何度も声を注意されながら、ソファーで圭司に抱かれたのだった。