婚約者はホスト!?⑤~愛しい君へ~
「あっ あのね 圭司 私、船のデッキに出た辺りから、全然記憶がなくってね… 何かしちゃたかな 私」
恐る恐る聞いてみる。
「全く覚えてないの?」
圭司は私がコクリと頷くと、そっかと言ってベッドに腰を下ろした。
「昨日なつはさ、デッキに出て俺の肩に寄りかかってるうちに、そのまま眠っちゃったんだけど… 急にトイレに行きたいって目を覚ましてさ…」
「うん…」
「なつ結構酔ってたから、ちゃんと俺がトイレまで付き添ってたんだけど、目を離した隙になつは一人で戻っちゃったんだよ」
「うん」
「でも、元の場所では違うカップルがキスしちゃってて」
「えっ あっ うん…」
「そしたら、なつ… そのカップルの男の方を俺だと勘違いしちゃってさ、俺が戻ったら少し離れた所で一人で泣いてたんだよ」
「うわっ バカみたい 私」
「まあ 暗かったし酔っ払ってたし、それに女性の方が何となく北川に似てたから… おかげで俺は、二日連チャンで、なつのピンタを喰らう羽目になったってわけ…」
「やだ 私、また、圭司を引っぱたいちゃったの~!!」
「まあ 向こうの男をピンタしなくて良かったけどな その後、ずっとなつを抱きしめて、何度も愛してるって言ってたら、なつはそのまま俺の胸の中で寝ちゃったよ」
「ごめん 全然覚えてない あっ でも、私寝ちゃったなら、その後、圭司大変だったよね 勇斗の迎えだってあったのに…」
「あー それなら… なつは、勇斗の名前出すとちゃんと起きるから フラフラしながらも歩くんだよ…」
圭司が小さくふっと笑った。
「そっか」
でも、酔っていたとはいえ、そんな勘違いをしちゃうなんて…
二回も圭司を叩いてしまったなんて…
隣にすわる圭司の頰に手を触れて、ごめんねと呟くと、圭司は私のおでこに自分のおでこをゴツンとぶつけて笑った。
「ホントになつはバカだよね こんなに俺に愛されてるのに…」
圭司はそう言って、私の首筋にキスを落とした。
「それとも、北川のことがまだ気になってんの?」
私は首だけ大きく横に振った。
「もう、なつが勘違いしないように、たっぷり体に教えとこっか…」
耳元に甘く掠れた声が響き、私は圭司の胸に抱えられながらベッドの上に押し倒された。
「愛してる…」
そう呟くと、圭司は私の首筋に顔を埋めた。
「あっ…」
圭司の舌の感触に、どんどん体が疼いていく。
やがて首筋から、鎖骨、胸へとキスは下りてきて、そして胸の中心を強く吸い上げられた。
「んっ あっ…」
思わず身をよじると、圭司に両手を押さえられ再びベッドへと戻された。
「なつ 俺のこと見て…」
目を開けると、そこには余裕のない圭司の顔があった。
「俺が欲情するのは、なつだけだよ… 俺は一生なつだけだから…」
「けい…じ」
圭司の愛に包まれながら、私達は一つに繋がった。