婚約者はホスト!?⑤~愛しい君へ~

「ねえ 圭司… こんなに贅沢な部屋まで取ってわざわざ来たけど、時間とお金のムダになっちゃったね…」

その夜、私は布団の中で大きなため息をついた。

「いいんだよ ここに来た目的は、あいつがシロだってちゃんと確かめたかったのと、なつにちょかい出さないように釘を刺す為だったから…」

圭司が私の方に振り向いてそう言った。

「えー そんな目的だったら、やっぱり来なくても良かったじゃない どうするの? こんなことしてる間にホントの犯人が勇斗狙ってたりしたら… それに、松井くんなら話せば分かってくれただろうけど、もし 春くんみたいなタイプだったら…」

私はそこで言葉を止めた。

春くんみたいなタイプなんじゃなくて…
まさに、春くんなんじゃ!?

「ねえ 圭司! 春くんかもしれないよね! だって、模範囚だったりすると、刑務所から早く出てこれたりするんでしょ!? また懲りずに私のことを…」

言った途端、恐ろしくなって体が震えてきた。

「なつ 大丈夫だよ その可能性はないから」

圭司が震える私の体を抱きよせて、力強くそう言った。

「えっ… どうして分かるの?」

「ちゃんと調べてきたから」

「調べた?」

「そう ほら、家に変な電話があった後、テレビでストーカー殺人の事件やってただろ? あれで、ちょっと不安になって… 昨日、仕事の前に、警察署であいつのこと調べてきたんだよ でも、大丈夫だった あいつじゃなかったよ まだ、出てくるのは当分先だから…」

「そっか… 良かった 春くんじゃないんだね」

ホッとしながら顔を上げると、圭司は遠くを見つめていた。

「圭司?」

「ん?」

「何か…気になることでもあるの?」

何となくそんな気がして聞いてみた。

「ああ うん… 明日さ、勇斗を迎えに行った後、ちょっと付き合って欲しい所があるんだけど… いい?」

「いいけど… どこ行くの?」

「ホントの犯人のところ…」

「えっ!!」

そして、圭司は固まる私に向かってこう言った。

「大丈夫 明日で、ちゃんと解決させるから」




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