婚約者はホスト!?⑤~愛しい君へ~
「あれ? ここって…」
私はグルリと部屋の中を見回した。
どうやらここは、自宅マンションの寝室のようだ。
隣の子供用ベッドには、勇斗がスヤスヤと眠っている。
「大丈夫か? こんな夜中に、突然、悲鳴上げて泣き出すからビックリしたよ… 怖い夢でも見たか?」
圭司は私の涙を指で拭いながらそう言った。
「……夢?」
そっか…
私、夢見てたのか…
ホッとしたけれど、さっきの光景があまりにも衝撃的で頭から離れない…
「もう、ヤダ… あんな夢…」
「ん? どんな夢?」
圭司は私を見つめてそう言った。
「圭司が浮気した夢だよ… 圭司ね、私を裏切ってモデルのハルとエッチしちゃたの…!」
拗ねたようにそう言うと、圭司は私の体を抱き寄せた。
「そっか… 昨日、俺が、モデルのハルをタイプだって言ったの気にして、夢にまで見ちゃったのか……」
耳元でそう言われ、私はコクリと頷いた。
「あれ、嘘なのに…」
「えっ 嘘!?」
思わず顔を上げると、圭司がクスッと笑った。
「ハルなんて顔も知らないよ… たまたま『加藤瞬、元カノ』で載ってた名前、適当に言っただけだから…」
しれっと白状する圭司に、一気に力が抜けていった。
「ひどーい どうしてそんな嘘つくの~?」
そのせいで、あんな最悪な夢まで見ちゃったんだから~
口を尖らせてそう言うと、「なつが妬かせたからだろ?」と圭司に睨まれた。
「あっ、そっか… 私が瞬くんを好きって言ったからか…」
そっか、そうだよね…
でも、決して圭司がヤキモチやくような「好き」ではないんだけどな…
ただ、美咲ちゃんママと一緒にキャーキャー騒ぐのが楽しいだけで…
どう言ったら、分かってもらえるのかな…
「あと、その『瞬くん』って呼ぶのも、ムカつくんだけど…」
「えっ? あっ でもね、それは皆ながそう呼んで」
「ダ~メ 許さない…」
圭司はそう言って、私の首筋に吸いついた。
「あっ」
チクリと痛みが走る。
圭司は私の胸のボタンを外しながら、次々に赤い花を咲かせていった。
「俺以外の男なんて追い出してやるから…」
「あっ んっ」
圭司の愛撫がどんどん激しくなって、体中が熱く溶かされていく。
「あっ あっ ああっ~」
両手を押さえられながら胸の頂を強く吸われ、私は悶えるように体を反らせた。
「もう、ダメ… そこ、そんなに吸われたら…」
「ん? どうなるの?」
「変になっちゃう…から」
「じゃあ… 変になっちゃえば…」
耳元で囁かれ、更に強く吸い上げられた。
「やっ あっ~~」
同時に、下着の隙間から入ってきた圭司の指が、更に奥へと入ってきた。
「はあ~ あっ」
容赦なく圭司に攻められて、何度もイキそうになるのだけれど…
「あっ… どうして…」
「まだ、イかせない…」
何度も焦らされ、お預けを喰らわされてしまう私
「お願い 挿れて…」
とうとう、こんな恥ずかしい言葉を涙目で言わされる嵌めになった。
圭司はふっと笑って、私の耳元で囁いた。
「じゃあ、『瞬くん』の写真、全部消してくれる? 俺の写真より沢山あって、すっげー不愉快だから」
「えっ あっ! もしかして携帯、見たの!?」
「うん 不安な時は見てもいいルールなんだろ?」
そうだった…
すっかり忘れてたけど、私がそんなルール作ったんだった…
じゃあ、これって、私へのお仕置きだったのだろうか…
圭司の言うとおり、私の携帯は『瞬くん』だらけで…
上半身裸の瞬くんだって映っている。
殆どが美咲ちゃんママから送られてきた画像なのだけれど…
あれを見られたなんて…
心の中で、私は大きくため息をついた。
「写真は消すから… ごめんね、圭司…」
気まずくて、圭司の顔が見られない…
「なつ 顔見せて?」
クイッと顎を持ち上げて、圭司が唇を重ねてきた。
そして、そのまま最後まで優しく私を抱いてくれた。
「私のこと、もう怒ってないの?」
腕枕をされながら、私がそう尋ねると…
「始めから怒ってないよ… 妬いてただけで」
と、圭司は笑った。
「圭司 愛してるから…」
「知ってるよ 愛されてる自覚は結構あるから…」
圭司はそう言って、私に口づけた。