シロツメクサになれたら
でも、改札から出るその姿を見て足が止まった。
目が合って、なんとなく逸らしてしまって、怒田を見る。
急に見てくるあたしに、怒田は不思議そうな顔をした。
「何だよ、知ってる奴?」
それは無意識の会話なのかもしれない。怒田は人を馬鹿にすることはあってもからかうことはない。
あたしは、首を振った。
彼の横を通り抜けて、駅の中へ入って行く。すっきりした気持ちではないけれど、これで良いと思った。
「怒田ってあたしの彼氏の顔知らないの?」
「知らないし興味ない。逆にお前の今日の予定を知ってた哀河に驚く」