桜色トライアングル
ずきっ、と痛んだ頭を、先輩が近づいてきて撫でてくれる。
「ごめんね、こんな弱ってるときに漬け込むような真似して」
頭の上に置かれた手がするり、とおでこに下りてきて、その手がヒンヤリしていることに気づく。
「あ…いえ。来てくれて、ありがとうございます」
うぅん…動いたからか、頭がクラクラしてきた。
熱も上がってる気がする。
あ、先輩にうつしちゃったら、悪いなぁ。
椅子に座っていたけど、体が耐えられずに先輩に倒れ込んでしまった。
頭を撫でてくれて、自然と目も閉じていく。
「熱が下がって、風邪が治ったらさ―…」
先輩がなにか言ってるけど聞き取れなくて、それでもなんとか返事をする。
「じゃあ、オヤスミ」
そうして、先輩の腕のなかで、あたしは眠りについてしまった。