桜色トライアングル



「どうしたの、一人で笑っちゃって。風邪は平気?」


「きゃあ!?」


またまた驚かされて、誰かと思えば、ふんわり優しい笑顔の芹沢先輩だった。


「人の顔見て悲鳴あげるとか失礼だね君」


「先輩が驚かすからです!」


も、もう、なんでみんなしてあたしを驚かすの!


でも先輩に会えて丁度よかった、昨日のお礼が言える。


とはいえ、校門じゃ目立つから近くにある大きな桜の木の影まで歩く。


「昨日はありがとうございました、お粥美味しかったです」


「どういたしまして。元気になったみたいでよかったね」


そう、昨日先輩は、あたしが寝てしまったあと部屋まで運んでくれただけでなく、お粥まで作って帰ってくれた。


起きてからお母さんに「ナニコレ?自分で作ったの?」と言われて気づいた。


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