桜色トライアングル




生地を混ぜて、伸ばして型を抜いているときに、珍しくお母さんとお父さんが二人で帰ってきた。


時計を見るともう7時だった。


帰ってきたのが6時過ぎだったから、一時間ぐらいたっている。


意外と時間かかるんだなぁ…。



「ただいまー。なんか甘い匂いがするわね~、なにしてるの?」


「お父さんにプレゼントか!?」


「「お父さん違う」」


お姉ちゃんと二人でハモって、項垂れて見せるお父さんを見て笑う。


あげるつもりはなかったけど、いっぱい出来そうだしお母さんとお父さんにもあげよう。


「あ~、台所こんなにして~。夕飯買ってきといてよかったわね、これじゃ準備なんてできないもの」


「えへへ、ごめんねお母さん」


お母さんが持っているビニール袋には、出来ているパスタや親子丼が入っていた。



「あ、お母さんあたしカルボナーラがいい!」


袋から取り出して言うと、お母さんは笑って元々そのつもりよ、と言った。


「じゃ、私はたらこ~。あ、桜型抜いたら焼いちゃお」


「わかった~」

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