桜色トライアングル
天板にクッキングシートを敷いて、その上に型を抜いたクッキー生地を乗せていく。
「15分くらい焼いたら出来上がり!」
「やった~、疲れちゃった」
あたしはイスをオーブンの前に持ってきて、オレンジ色の光の中で焼けていくクッキーを見ていた。
ハートや猫の形しかなくて、可愛い感じになっちゃったけど…
先輩これで許してくれるかな~…。
デートは、断らないと…。
ちょっと自信はないけど、決意を固めたところでオーブンがピーっピーっと鳴って焼けたことを教えてくれた。
ボーッとしてたら15分も経ってたんだ。
右手にミトンをはめて、天板を取り出すとクッキーのイイ匂いがした。
「1個割ってみて、大丈夫そうなら冷やそう」
「はーい」
ハートを半分に割るのはちょっとやだから、星を割って焼けているか確認する。
「大丈夫そうだよ」
「よし、じゃあ夕飯食べよ!」
クッキーをお皿に移して、あたしとお姉ちゃんは席についた。
明日…先輩にいつ渡そうかな。
いつもみたいにふらっと現れてくれないかな、3年生の階には行きたくないから。
まぁ今日は、ちゃんとクッキー作れてよかった!