桜色トライアングル
夏の始まり
長い一日
「…」
今日最後のチャイムが鳴り終わり、あたしは席でむすっとしていた。
「どーしたの、桜?機嫌悪い?」
「うーん…」
あたしが怒ってるなんてことが珍しいのか、真姫は本当に心配した顔をしてくれた。
でも理由は大したことないんだよね…。
「大丈夫、ちょっとお腹痛いだけだよ」
適当な理由だけど誤魔化して、真姫に笑顔を見せた。
「そう?よかったよかった。桜怒ったら怖いし」
「そうかな?」
あたしがちょっと不機嫌な理由、それは先輩と会えてないこと。
別に好きで会いたいんじゃないけど…。
クッキー渡して、デートの約束は取り消してもらいたいのに。
「あ、真姫。帰る前に海希くんのところ行ってもいい?」
「いいよ、クッキー?」
「そうそう」