桜色トライアングル
ざわざわ、と騒ぎ出す女子。
よく考えたら、ファンの子達だってこうやってお菓子とか渡してるし、いいよね。
あたしはファンじゃないけどっ。
「あの、これお礼、です。これで許してください失礼しまっ…!?」
クッキーを渡したあたしは足早にその場を去ろうとしたんだけど。
あたしの側に来た先輩は、あろうことかあたしの肩に片腕を回して抱きついてきた。
周りの女子も、廊下にいた人も、むしろあたしが、驚きすぎて固まった。
「……っえ」
キスするかと思うぐらいにそのカッコいい顔を近づけられる。
力が抜けて座り込んだあたしを見て不敵に笑う先輩、悲鳴をあげる女子。
「今回はこれで許してあげるよ、じゃあね」
にやりと、それはそれは悪い笑みを残して先輩は去っていった。
なっ、なにして、るの!あの人!
先輩にあんなことされたこととみんなの注目を集めている恥ずかしさで顔が熱くなるのを感じる。