桜色トライアングル




「~~~~っ!」


座り込んだせいで落としたカバンを拾って、ダッシュで真姫のところに戻った。



「桜?」


「うぇぇ、真姫ぃぃ!」


「え!?なになに!?」


ぎゅっ、と真姫に抱きついたところで、B組が終わったらしく、廊下のざわめきが増した。


「ちょ、桜?なに涙目で…」


「先輩にクッキー渡しに行ったら抱きつかれたぁ~~。恥ずかしい!」


「…はぁ?」


真姫は辺りを見渡して、明らかにあたしが注目を浴びていることに気づいたらしい。


「芹沢先輩ってよくわかんない人ね」


「ほんとだよー!」


あの人絶対あたしの反応見て楽しんでるだけだよ…。


もうクッキー渡したから関わらないもんね!


「あ!桜!良いところに~。宮沢もちょい来て?」


真姫の胸から顔をあげると、手を合わせてお願いポーズをした海希くんがいた。


あたしと真姫は二人で顔を見合わせてから、言われるがままに海希くんに連れられていった。



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