桜色トライアングル




ざばっ、と水から顔を上げて空気を吸い込む。


「っけほ、…大丈夫、か?」


「う、うん、ごめんね巻き込んで…」


どうしよう目が合わせられない。


あたし…海希くんと、キス、した?


プールの中で突っ立って動かないあたしを置いて海希くんが先に出た。


そのまま置いていかれるかと思ったら振り返ってあたしに手を差し出してくれる。


「ほ、ほら、上がれよ。怪我、してないよな?」


「大丈夫…」


でも。


顔を上げたらあっさりと合う視線。


いつの間にか出ていた月に照らされる、水に濡れた海希くんが、かっこよくて。


今、手を握ったら心臓の振動が伝わっちゃうんじゃないかってほどドキドキしてる。


もう、ドキドキしすぎて、倒れそう…


引き上げてもらって、お礼を言うのにもそっちが見れない。


無理、無理、早く帰りたい!


恥ずかしさとかビックリしたとか…色んな感情がごちゃごちゃで話せない。


< 133 / 140 >

この作品をシェア

pagetop