桜色トライアングル




チャリを左手だけで運転しながら、右手で髪をわしゃわしゃと荒立てる。


海希がわしゃわしゃするのは、よく悩んでるときとか、イライラしたらやる癖。


この場合は悩んでる、のほうが近いのか。


「でもさ、案外告るって選択肢もありだと思うけど」


「…桜と話せなくなるとかは、イヤだから。まだ無理」


「返事がノーって決まったわけじゃねーじゃん?」


っていうか、さくらんがノーって言うわけないし。

それを言っちゃうのは野暮だろうから、黙っとくけど。


「桜、モテるし…かわいい、し…。他にもいるだろ。この間も告られてたし」


海希がどんどん壊れてく。


なに顔真っ赤にして好きな子のこと誉めてるんだか。


思わず吹き出した俺は海希に結構な形相で睨まれたから、慌ててある提案をした。


「もうすぐ夏休みだし、デート誘うとかは?徐々にこう…」


「自分で言うのもあれだけど、十分仲は良くなったと思うんだよ。だから、デートとか友達ノリになりそう、だし」


なんで海希はさくらんのことになるとそんな消極的なんだか。


まぁ…ここまで近づいたのは、頑張ったと思うけど。


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