桜色トライアングル
ふと、校庭に面しているこの窓の外を見ると、丁度海希くんたちが登校して、部室に行くらしい様子が見えた。
朝イチから海希くんのこと見れちゃった。
そんなちょっとの幸せが、あたしの心を軽くする。
「どしたの、桜ちゃん。一人でにやけちゃって」
気づくと、前の席の奈未ちゃんがあたしを見て不思議そうな顔をしていた。
「へ!?わ、いや、なんでもないよ!」
顔の前でばたばたと両手を振って否定する。
「なになに~?誰かいるの?」
やばい、海希くん見てたの、バレないよね!?
「あっ…!」
ぴくっ、とその声に恐る恐る顔をあげると。
「芹沢先輩だ~!もしかして桜ちゃん、先輩のこと見てたの?」
「へっ?芹沢先輩?」
誰それ?と思って、あたしも窓の外に身を乗り出してその人を見た。