桜色トライアングル
とりあえず、先輩のことはなんとも思ってないことを伝えようと、海希くんを見る。
目があって、あたしは口を開きかけたけどふいっと顔を逸らされてしまった。
「昂矢、俺教室戻るわ」
「えっ?お、おう…」
心なしか暗い声で教室を出ていってしまう。
どうしたんだろう…?
誤解、解けなかったな。
「茅野くん、どうしたんだろね?あ、それより、先輩の…」
「あ、うん…」
出ていった海希くんが気になって、奈未ちゃんの話をほとんど聞いていられなかった。
それに、興味のない先輩の話を聞いてもしょうがない。
昂矢くんは、不思議そうな顔をしたあと、ぽりぽりと頬をかいて教室を出ていった。
海希くんの所に行ったのかな…。
ぼんやりとそんなことを思いながら、奈未ちゃんの話に頷いた。