桜色トライアングル
海希くんらしくなくモゴモゴ喋ると、ぽんぽん、とあたしの頭を撫でてきた。
また海希くんの癖。
「あの、海希くんの、なにが原因かわからないけど…。あたしは、芹沢先輩のことなんとも思ってないよ?」
「え、あぁ、お、おう?」
なんだかわからないけど、頬が緩まった海希くんに、あたしも笑顔を返す。
仲直り…できたのかな?
よかった、また普通に話せて。
「あ、あとな、桜…」
「?」
まだなにかあるの?
海希くんは言いにくそうにあたしをチラチラ見て、リュックから、学校指定の紺色のベストを出して渡してきた。
「え、え?」
わけもわからずそれを受けとると、
「さっきから気づいてたけど中々言えなくてな…、透けてるんだけど」