桜色トライアングル
あたしはその言葉に、バッと胸辺りを見る。
すっ、す!透けてる!
雨降ったからか!
雨の中Yシャツで走ったら、こうなるよね、確かに。
「えっ、ああぁっ、ありがと!」
急いで海希くんに渡されたベストを胸に抱くようにして、前を隠す。
「ほんと…天然ってか、アホっていうか…」
「うぅ、海希くんのエッチ」
「なんで俺!?」
慌てたように言うその姿が面白くて、思わず吹き出してしまう。
なんか、いいな、楽しいこういうの。
ふふっ、とまだ笑っていると、小さめの固いもので頭をコツンっとたたかれた。
なんだろう、とその手元を見るとイチゴミルク味のキャンディ。
「あげるから、俺が見たのは黙っとけよ?」
「くれなくても言わないよ」
笑いながら受けとる。