桜色トライアングル




イチゴミルク、一番好きな味。


海希くんは知ってて今のタイミングで出したの?

それとも、ただの偶然かな。


ざぁざぁと降る雨の傘に当たる音を聞きながら、無言で歩く。


時折、ぶつかるあたしの左肩と海希くんの腕。


少し見上げたら、あたしが見ているのが気づいてるように、ふいっと顔を逸らされる。


こうして一緒にいられると、カレカノの関係なんて、いらないかなって思ってしまう。


「あっ、海希~!」


静かに流れていた空間に、突如入り込む女の子の声。


バシャバシャと、走ってきているのか水の弾ける音がする。



「海希だよねっ?おっはよ!」


振り返ると、そこにいたのはミルクティー色のふわふわの毛を揺らす可愛い人。


髪型はハーフアップにしていて、片手をあげて笑顔を海希くんに向けている。


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