桜色トライアングル
「あ…、真田 桜です」
「ふぅん、桜ちゃんって言うんだ。アタシは松野 架凛って言うの。よろしくね」
そう言って架凛先輩に手を差し出されたから、慌てて手に持っていたキャンディをポケットにしまって、手をだした。
「可愛いね、桜ちゃん」
「…っ!?」
架凛先輩は微笑みながら、ぐっ、とあたしの左足を踏んできた。
思わず退いて足を引き抜くと、不適な笑みを向けられる。
こ、この人、わざと…。
「あ、そうだ海希ぃ、今度またウチにご飯食べにこなーい?」
害のない笑顔に切り替えると、海希くんに擦り寄る先輩。
だめだ…、この人、敵、だ…。
海希くんのことが、好きなんだ。
海希くんは、足元で行われていたことは気づかなかったみたいで、普通に先輩と話している。
家にご飯食べに行くって、どんな関係なの?
下を向いてぐっと唇を噛み締める。