桜色トライアングル
朝は海希くんを見かけなくて、やっと会ったのは移動教室でB組の前を通った時だった。
「…おっ?桜だったの?全然わかんなかった!」
と、これが第一声。
ただなんかびっくりされてしまった。
「どうかな…変?」
「超いい、前のふわふわな感じも可愛かったけどな」
さらり、と髪を掬われて、頭を撫でられる。
きゃぁあ、可愛いって、いいって!
内心踊り出しそうな気持ちで、海希くんにありがと、と言った。
「さくらん可愛いよ~~!オレの彼女になってくれてもいいよ?」
海希くんの後ろからひょい、と顔を出したのは昂矢くん。
「あはは…、遠慮しておく」
もう、昂矢くんったら、あたしが海希くん好きなの知ってるくせに。