桜色トライアングル



宮沢は真姫の名字。


も、もしかしてあたしが海希くんと話してたから気を利かせて?


「え、どど、どうしよ、追いかけようかな」


芝生の上に置いてあったレジャーシートやお弁当が入っていたトートバッグがなくなっている。


全部荷物まで持って帰ってくれたらしい。


そもそもこの試合を見に誘ったのはあたしなのに、うぅ、真姫ごめん。


わたわたとしていると、スマホがピコン、と音をたてた。


『アタシのことは気にしなくていいから、海希くんと帰っちゃいなよ~?

明日、お弁当箱とか渡すね!』


そんな真姫からのメッセージが表示されて、ちょっとほっとした。


「なに?宮沢?」


ひょいっと海希くんにスマホを覗かれそうになって、慌てて背中に隠す。


こんなの見られたら、好きなの、バレちゃう。


「なんで隠すんだよ?なんか恥ずかしいこと書いてあるのかよ」


書いてあるよもう!

覗かないで!

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