桜色トライアングル
「そろそろ帰ろっか、暗くなってきたね」
「あ!僕、送ります。電車ですか?」
「うん、花江くんは?」
「僕は自転車なんですけど、送らせてくださいっ」
「えぇ、悪いよ。大丈夫だよ一人で」
慌てて両手を振って、大丈夫を示してみるけど、花江くんは納得してくれない。
「先輩になにかあったら大変です。というか、そんなことになったら僕は…僕は…」
「わっ、わかった!じゃあ、駅まででいいからっ」
「は、はいっ!」
心配性だなぁ、花江くん。
あたしなんか一人だって平気なのに。
あたしなんかより、花江くんのほうが数倍優しいと思うけどな。
にこにことあたしの隣を歩く花江くんが可愛くて、笑ってしまう。
そんなこんなで、あたしは後輩、花江くんと駅まで歩いた。