桜色トライアングル



「サボり…だめだよ」


「いーんだよ、俺はいつも真面目に出てるし。それに…」


海希くんは少し視線を下げながら、あたしの頭を撫でる。


「それに?」


「桜に会えたし」



どきんっ、と心臓が派手な音を立てて鳴る。


い、や。

違う、きっと海希くんはそんな意味で言ってない。

勘違いしちゃダメだ、桜!


「あ、あはは…」


結果、苦笑いしか返せなくて。


でも、この赤い顔で、全部バレてるんじゃないかと思ってさらに恥ずかしくなる。


「あ、着いた。降りるぞ桜」


「あっ、うん」


なんでもない風の海希くんに、やっぱりあたしに特別な感情があって言ったんじゃないと複雑な気分になる。




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