桜色トライアングル
えっ、えっ、えぇ!?
奈未ちゃんなにしてるの!?
もしかしなくても、きっと奈未ちゃん的には気を利かしてくれたんだろうけど、
あたしは別に先輩を好きじゃないから、すごく困る状況に!
置き去りにされたあたしと芹沢先輩。
先輩はちょっと困った風に頬をかいている。
「んーと…、じゃあ帰ろうか」
「あ、はい…」
先輩に、あたしが先輩を好きだと誤解されたら、また可笑しなことになるよね。
早いところ、この状況のわけを説明しなきゃ。
既に少し先を歩いている先輩に、思いきって声をかける。
「あの、せんぱ…」
「君、オレのこと好きじゃないよね?」
くるり、と振り返って柔らかく微笑む先輩が言った言葉に、目を丸くする。
まさに、あたしが今言おうと…、あれ?口に出してないよね?
「やっぱりね。瞳が違うよ、瞳が。それで、君の本命は誰?」
先輩の目が、楽しそうに細まる。