桜色トライアングル
こういうとき、いつもなら真姫がなにか言ってくれたり慰めてくれたりするんだけど。
今日はあたしのために先に帰ってくれたし…、海希くんと仲良くできるなら、このくらい我慢しなきゃね。
近くにあった、さっきまで夫婦が座っていたベンチに、腰を掛ける。
そして、輪になって先生の話を聞いているであろう集団から、海希くんを見つける。
背が高くて、すらっとして、すぐに見つけられるあの後ろ姿。
好きな人であり、憧れの人。
カッコいい姿に、さっきまでのモヤモヤした気持ちは消える。
しばらく眺めていると、終わったらしく、みんなバラけて、荷物を取りに行っているみたいだった。
するとその集団から抜けて、スポーツバックを自転車のカゴに突っ込み、こっちに歩いてくる海希くんが見えた。
「桜、お待たせ」
「大丈夫だよ」
自転車を引く海希くんの隣に並んで歩き出す。
あぁ、とっても幸せ。