桜色トライアングル

焦り side:海希





部活も終わって、一人で駅に向かっていると、珍しく電話がかかってきた。


一旦、端によって自転車を止めてポケットからスマホを取り出す。


ろくに相手の名前も見ないままに、通話ボタンを押すと、大声が耳に飛び込んできた。


『大変なの!!』


この声、宮沢の声か。


「なに?どうしたの、珍しいし、大声なんか出して」


『ごめんっ!でもそれどころじゃないの!桜がいないのよ!』


「はっ?」


桜が、いない?


無意識のうちに、眉間に皺が寄る。


宮沢に話を聞くと、桜は六時間めの体育の後から教室にいなくて、そこから行方不明らしい。


俺はクラスが違うし、会わなくても不思議に思わなかったけど、確かに変だ。


宮沢も、桜の机に鞄も制服もなかったから先に帰ったのかと、不思議に思いながらも気にしなかったらしい。


でも家に帰ってから、やっぱりおかしいと、

桜の携帯に電話して出なかったから家に掛けて、それで桜が家にもいないことがわかったらしい。


< 73 / 140 >

この作品をシェア

pagetop