桜色トライアングル
焦り side:海希
部活も終わって、一人で駅に向かっていると、珍しく電話がかかってきた。
一旦、端によって自転車を止めてポケットからスマホを取り出す。
ろくに相手の名前も見ないままに、通話ボタンを押すと、大声が耳に飛び込んできた。
『大変なの!!』
この声、宮沢の声か。
「なに?どうしたの、珍しいし、大声なんか出して」
『ごめんっ!でもそれどころじゃないの!桜がいないのよ!』
「はっ?」
桜が、いない?
無意識のうちに、眉間に皺が寄る。
宮沢に話を聞くと、桜は六時間めの体育の後から教室にいなくて、そこから行方不明らしい。
俺はクラスが違うし、会わなくても不思議に思わなかったけど、確かに変だ。
宮沢も、桜の机に鞄も制服もなかったから先に帰ったのかと、不思議に思いながらも気にしなかったらしい。
でも家に帰ってから、やっぱりおかしいと、
桜の携帯に電話して出なかったから家に掛けて、それで桜が家にもいないことがわかったらしい。