桜色トライアングル
体育館に通じる廊下から逸れて、ぐるっと少し回る形で倉庫にたどり着いた。
「茅野、明かりくれ」
「…」
懐中電灯くらい持ってくればよかったな。
俺はカメラのライト機能で、倉庫を照らした。
木の棒が、明らかにドアを押さえるように立て掛けられている。
「桜…!」
急いで二人で棒を外して、ガラッと勢いよくドアを開ける。
ライトで照らすと、床に寝転んでいる桜らしき人が照らされた。
「桜!桜!」
「真田さん!」
肩を強く揺らしてみると、うっすらと目を開け始めた。
腕、めっちゃ冷えてる…何時間ここにいたんだ?
「ん…?海希…くん?」
「そうだよ、わかるか?大丈夫か?」
「うん、寒いけど、平気。あ、ちょっと眩しい…」
目を逸らした桜から、慌ててスマホライトを別の場所に向けた。