桜色トライアングル
「よかった…」
思わずぎゅっと、抱き締めてしまった。
秋本ちゃんもいるのに、まずいかと思ったけど体が言うことを聞かなかった。
まじ、焦った。
「かかかっ、海希くっ…!」
桜が腕の中でバタバタと暴れて、俺はハッとして腕を離した。
「ごめんな、大丈夫か?あ、寒いよな、これ着な」
俺は来ていたブレザーを脱いで、桜に着せてやった。
「ありがとう…」
それでも寒そうな桜を、抱えあげて、移動することにした。
「秋本ちゃん、保健室って開けらんない?」
「あ、あぁ、鍵借りてくるから、保健室前で待ってろ」
なぜか秋本ちゃんは戸惑ったように言って、走っていった。