桜色トライアングル




「桜、荷物…ってそれしかないのか」


海希くんは荷物を持ってくれようとしたらしいけど、あたしの荷物は小さいリュックだけ。


「これぐらい持てるよ~」


「そうだな~、じゃあこれも持つか?」


海希くんは自分のスポーツバックの肩紐を少し持ち上げて、いたずらな目をあたしに向ける。


もう、無理なのわかってていうんだから。


「も、も、持てるよ!」


「ははっ、無理すんな、おちび」


ぽんぽん、と頭を叩かれて、またきゅんっとする。


海希くんはこうやって人の頭を撫でたりするのが癖みたいだけど、される度にどきどきする。


「おちびじゃないよー、150cmあるもん」


「俺は170あるわ」


む、20cmも差が…

やっぱり大きいのっていいなぁ。



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