桜色トライアングル




桜が電話を切ったタイミングで、俺はそれを伝えた。


「桜、俺のジャージ着て帰んなよ。体操服じゃ寒いだろ?」


「へ!かっ、海希くんのジャージ!?」


桜は赤い顔をして、両手をぶんぶん振って慌て始めた。


「だだ、大丈夫、あたし元気だ…し、っくしゅん!」


盛大にくしゃみしてるくせになに言ってるんだか。


「あ、職員室にリュック置いてきちゃったから、取ってくるな」


「え!いいってば!」


桜が叫んでいるのも聞かず、俺は職員室に走り、廊下に出されていたカバンを取って、すぐに保健室に戻った。


職員室と近くてよかった。


「ほら、桜」


ブレザーを返してもらって、カバンに入っていたサッカー部でお揃いのジャージを渡した。


「海希くんこれ、部活のだよね?」


いいの?という目で見てくる桜に、軽く頷いて見せる。

< 82 / 140 >

この作品をシェア

pagetop