桜色トライアングル
桜が電話を切ったタイミングで、俺はそれを伝えた。
「桜、俺のジャージ着て帰んなよ。体操服じゃ寒いだろ?」
「へ!かっ、海希くんのジャージ!?」
桜は赤い顔をして、両手をぶんぶん振って慌て始めた。
「だだ、大丈夫、あたし元気だ…し、っくしゅん!」
盛大にくしゃみしてるくせになに言ってるんだか。
「あ、職員室にリュック置いてきちゃったから、取ってくるな」
「え!いいってば!」
桜が叫んでいるのも聞かず、俺は職員室に走り、廊下に出されていたカバンを取って、すぐに保健室に戻った。
職員室と近くてよかった。
「ほら、桜」
ブレザーを返してもらって、カバンに入っていたサッカー部でお揃いのジャージを渡した。
「海希くんこれ、部活のだよね?」
いいの?という目で見てくる桜に、軽く頷いて見せる。