桜色トライアングル
「あ、桜、そこにアイス屋あるから食ってこうぜ」
言うが早いか、海希くんは駄菓子屋みたいな雰囲気のアイス屋さんに駆けていく。
「あ!ちょっと待ってよー」
あたしも慌てて走り出すけど、あたしが着いたときには海希くんは自転車を止めて中に入っていくところだった。
はぁ、ちょっとの距離だけど疲れちゃった。
運動不足だ。
「雪子さーん、また食べに来たよー!」
海希くんが大声でそう言うと、中からお婆ちゃんが出てきて嬉しそうな顔をした。
「あらあら、海くん。また来てくれたのねぇ。今日は暑いから、アイスおいしいよ」
アイスの入った、よくある冷蔵庫から、カップのアイスを取り出して海希くんに渡している。
常連さんなのかな、海希くん。
「桜はなにがいい?俺はいつもバニラ食うんだけど」