桜色トライアングル
用があったのは俺なのに、半ば俺のほうが引きずられるようにして歩いていく。
立ち止まったのは棟の端にある、人気のない化学室の前。
「それでっ、話ってなにかな?」
なにか期待を込めたような瞳に見つめられ、ようやくこの人は勘違いをしているんだと気づいた。
告白なんてしにきたんじゃないのにな。
「真田 桜って知ってますか」
桜の名前を出した途端、少し怯えた表情になった。
「さ、さぁ…聞いたことないなぁ」
視線が泳ぎまくってる。
「じゃあ、金曜の6時間目のあとはなにをしてましたか?」
「そ、そんなの覚えてないよ~」
嘘ついてるな、この先輩。
犯人、見つけた。