桜色トライアングル
なにを言ってもはぐらかす気だ。
「…本当のこと言ってください」
「あたし嘘なんかついてないよっ!」
俺は半眼になって一睨みしてから、先輩に近づいた。
反対に、後ずさる先輩は化学室の壁に背中をつけた。
俺は構わずに、先輩に近づいて、顔の横の壁にバンっと手をついた。
怯える先輩の顔を上から見下ろす。
「先輩、嘘だとかどうでもいいんですよ。
これ以上、桜にふざけた真似したら、許しませんよ。
…桜に近づかないでください」
怯えていたと思ったら、鋭い目で俺を睨み、体を押してきた。
「はっ、はぁ?意味わかんないんですけど!触んないでよ変態!」
先輩は、さっきまでの喋り方はどこへやら、敵意剥き出しで俺から逃げていった。
「触らないで、って1ミリも触れてねぇよ…」
むしろ触ってきたのはそっちだろ。