桜色トライアングル
まだ言いたいことはあったのに、なんだか不完全燃焼だ。
まぁでも、桜の安全が一番だからな。
あの人が反省するとは思えなさそうだけど、とりあえずは大丈夫だろう。
「年上相手に、よくやるねぇナイトくん」
誰もいない廊下に響く、嫌みな声。
「お前があの紙を渡してきたんだろ」
姿を見せず声だけの相手に、俺も不機嫌に返す。
「さぁて、なんのことかな」
とんとんっ、と階段を降りていく音がするから、化学室前の階段にいたらしい。
道理で反響して聞こえるわけだ。
少し気分は悪くなったけど、ともあれ、犯人はわかったし一応注意できた。
本当は、桜に謝らせようと思っていたけどあれじゃ無理そうだ。
それに、桜には犯人は探さないって言っちゃったしな。
この件は、内緒だな。