桜色トライアングル




着替えたあたしは、控えめにドアを開けてまだ先輩がいるか確認した。


「そろそろいれてくれないかな、暑い」


「あっ、すみません…」


ちょっと疲れたような顔の先輩がいて、慌てて中に入ってもらった。


うーん、なんだかよくわからない状況。


なんであたし、風邪で休んだはずなのに先輩をもてなしてるんだろう。


冷蔵庫に入っていた、パックのレモンティーをグラスに注いで、氷も入れて、先輩の前のテーブルに置く。


先輩は持っていたビニール袋をあたしに渡して、グラスを手に取った。


袋の中身はフルーツゼリー。


本当にお見舞いに来てくれたらしい。


だ、だって、あれっきりしか話したことない先輩があたしのお見舞いに来るなんて信じられなかったし。


グラスを少し回して、カラン、と涼しげな音を鳴らしてから先輩は口をつけた。


ただのレモンティーなのに、なんだろうこの絵になる感じ。


…イケメンだからだ。

< 98 / 140 >

この作品をシェア

pagetop