二十歳の約束

今度は私の涙が止まらなかった。

「…伊織…。」

「綺帆って綺麗な帆を揚げてほしいから綺帆なんでしょ?元気になったら綺麗な帆を揚げて、うちに合図だしてよ。そしたら行くから。」

伊織は退学することに対して反対もせず怒りもせず、 待っててね と言ってくれた。

もう、十分だった。
わたしには、伊織が居てくれればもう十分だった。

「先生には話したの?」

「まだ…。」

「そっか、そっちが問題だよね。協力するから。」
< 48 / 99 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop