二十歳の約束
今度は私の涙が止まらなかった。
「…伊織…。」
「綺帆って綺麗な帆を揚げてほしいから綺帆なんでしょ?元気になったら綺麗な帆を揚げて、うちに合図だしてよ。そしたら行くから。」
伊織は退学することに対して反対もせず怒りもせず、 待っててね と言ってくれた。
もう、十分だった。
わたしには、伊織が居てくれればもう十分だった。
「先生には話したの?」
「まだ…。」
「そっか、そっちが問題だよね。協力するから。」