ねぇ、運命って信じる?
▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽ side恭護
とっさに腕をつかんで、綾乃が姉だと打ち明けたはいいが、彼女は信じてくれるだろうか?
このまますべてを話さなければ彼女はきっと永遠に俺の元へは戻ってきてくれない……。聞かれたことはすべて正直に話す。今俺にできることはそれだけかもしれない…だから何か、なんでもいいから聞いてくれ。…そこであきらめないでくれ……
「あの……財布は?」
財布…あのとき彼女から強引に奪ったことを言っているのだろうか?
「財布?…あのときは強引に奪ってごめん。」
「そうじゃなくて。噂のこと知らないのかな…」
「噂ってなんだよ。…知らない。どんな噂?」
全く心当たりがない。…そもそも噂ってなんだよ。
「あの…ね、中原恭護の財布には忘れられない人の写真が入ってる。だから誰にも絶対財布を触らせない。だったかな。…だからあのとき焦って戻ってきたのかなって…綾乃さんの写真が入っているんだろうなって思ってた。」
…そんな噂どこから流れてんだよ。半分は当たってるじゃないか。
「……確かに入ってるよ。」
美羽の顔が悲しそうに歪んだ。そんな顔してくれるなら…まだ希望はあるよな?ポケットから財布を差し出した。
「自分で確かめてみる?」
彼女に一縷の望みをたくしてみよう…