××物語
「お前たち…。自分に出せる力、全部だしきったか?」
コーチの言葉に、泣きながら頷いたり、俯いたりするチームメイト。
「自分の出せる力を全部出しきれたなら、それでいい。もうお前たちは十分わかってるだろ。自分に足りないものも」
みんなの頭が縦に動く。
「もう俺からはなにも言わない。あとは自分等で考えろ」
「「はい…」」
みんなの声は湿っている。
それもそうだ。
中学校最後の引退試合。決勝戦。
これで勝てば優勝だった。
「じゃあ…今日はこれで解散。明日は反省会だから、ちゃんと来いよ」
リーダーが言うと、みんなはのろのろと帰りの支度を始めた。
みんな悔しいんだ。
でもきっと、みんなのなかで俺が一番悔しがってると思う。
_俺のせいで、負けたから。