森の奥のとある魔導師達の話。
中心地へと。
朝焼けが、私の一歩前を歩くルークの白い頬を照らす。
透き通る程の白さに赤みが増して、それは絵のように美しく見えた。
三十分程ひたすら歩き、木造だろう、駅が見えてきた。突然ルークが此方に
振り返ったかと思うと、ルークは私にフードを被るよう言った。
素直にフードを被り、駅に入る。眠そうな駅員から乗車券を買い、判子を押して貰う。
駅のホームまで歩き、列車が来るのをルークと二人で並んで待った。
ふふ、と私が笑えば、ルークは眉を潜めて私を見た。
「何笑ってんだよ、気持ち悪い」
「さっき、乗車券買ったでしょう。お買い物って、久しぶりだなぁって」
「...俺らもいつか、普通に買い物位出来るようになるさ」
「...そうだといいなぁ」
一体いつまで、魔導師達は自分の正体を隠しながら生きていかなければならないのだろう。
いつか、など。そんなあやふやな言葉など、聞きあきていると言うのに。
列車が、朝日を浴びながらがたがたと揺れて、私達の前に止まった。
ルークに続いて列車に乗り込む。
中は、一つの車両に幾つかのコパーメントがある形になっており、
この列車は六つの車両が連なっている。
私達以外の乗客はほとんど居らず、大半が眠っていた。
六つ目の車両まで歩き、一番奥のコパーメントの中に向かい合う形でルークと腰かける。
ようやく座れたためか、私はフードを取りながら、はぁ、と大きく息が溢れた。
ルークがコパーメントのドアを閉めながら、そんな私に嫌そうに舌打ちをした。
「ん」
舌打ちをした相手は、急に私に一枚の紙を差し出した。
ちらりとその紙をみやると、恐ろしいほどにびっちりと、物の名前が書いてあった。
「え、何これ」
「見りゃわかんだろ、買い物リストだ」
「こんなにあるの...って、これは何?」
書いてある文字を読んでいくと、一つだけ知らないものが書いてあった。
「あぁ、それは薬屋、って名乗ってるだけの、魔法使いの店だ。
騎士団も、こいつだけには手出しをしてねぇ。なかなか食えない奴だよ。
多分、騎士団とも契約みたいなのをしてるんだろうな。
因みにそれは、“守護の粉”だ。森にある家の回りには、結界が張ってあるのはわかるな?
非魔導師が入ってこれないようにするやつだ。
その結界を作る魔法に使う粉。これがないと俺達は今頃処刑台かもな」
親指を下に向けて、自分の首の前でルークは横にスライドさせた。
守護の粉も気になるけれど、その騎士団に見逃されている魔導師の方が気になった。
騎士団と契約次第でそんな関係になれるのなら、他の魔導師達も、ゆっくり生活ができるようになるはずだ。
そんなことを考えていたとき、突然、コパーメントのドアからコンコン、とノック音がした。
人だ。
今の会話を聞かれただろうか?魔導師とバレた?
心臓が飛び出そうな位動機が激しくなる。どうしよう、とルークの方に視線を投げると、
ルークはフードを被り、私にもそうするよう目で促した。
私もフードを慌てて被り、膝の上に置いた、知らずのうちに握りしめていた拳を見つめた。
もう一度、コンコン、とノック音が鳴る。
その時、ドアが勢いよく開かれ、そこには黒い同じ様なローブを着た者が立っていた。
体つきを見ると男だろう、なんて考えれば、辛うじて見えた口が弓のように曲がり、
男は素早く手を伸ばし、私のフードをバサリと取った。
突然の事に固まった私達に追い討ちをかけるように、男は言い放った。
「お前ら、魔導師だろう」
透き通る程の白さに赤みが増して、それは絵のように美しく見えた。
三十分程ひたすら歩き、木造だろう、駅が見えてきた。突然ルークが此方に
振り返ったかと思うと、ルークは私にフードを被るよう言った。
素直にフードを被り、駅に入る。眠そうな駅員から乗車券を買い、判子を押して貰う。
駅のホームまで歩き、列車が来るのをルークと二人で並んで待った。
ふふ、と私が笑えば、ルークは眉を潜めて私を見た。
「何笑ってんだよ、気持ち悪い」
「さっき、乗車券買ったでしょう。お買い物って、久しぶりだなぁって」
「...俺らもいつか、普通に買い物位出来るようになるさ」
「...そうだといいなぁ」
一体いつまで、魔導師達は自分の正体を隠しながら生きていかなければならないのだろう。
いつか、など。そんなあやふやな言葉など、聞きあきていると言うのに。
列車が、朝日を浴びながらがたがたと揺れて、私達の前に止まった。
ルークに続いて列車に乗り込む。
中は、一つの車両に幾つかのコパーメントがある形になっており、
この列車は六つの車両が連なっている。
私達以外の乗客はほとんど居らず、大半が眠っていた。
六つ目の車両まで歩き、一番奥のコパーメントの中に向かい合う形でルークと腰かける。
ようやく座れたためか、私はフードを取りながら、はぁ、と大きく息が溢れた。
ルークがコパーメントのドアを閉めながら、そんな私に嫌そうに舌打ちをした。
「ん」
舌打ちをした相手は、急に私に一枚の紙を差し出した。
ちらりとその紙をみやると、恐ろしいほどにびっちりと、物の名前が書いてあった。
「え、何これ」
「見りゃわかんだろ、買い物リストだ」
「こんなにあるの...って、これは何?」
書いてある文字を読んでいくと、一つだけ知らないものが書いてあった。
「あぁ、それは薬屋、って名乗ってるだけの、魔法使いの店だ。
騎士団も、こいつだけには手出しをしてねぇ。なかなか食えない奴だよ。
多分、騎士団とも契約みたいなのをしてるんだろうな。
因みにそれは、“守護の粉”だ。森にある家の回りには、結界が張ってあるのはわかるな?
非魔導師が入ってこれないようにするやつだ。
その結界を作る魔法に使う粉。これがないと俺達は今頃処刑台かもな」
親指を下に向けて、自分の首の前でルークは横にスライドさせた。
守護の粉も気になるけれど、その騎士団に見逃されている魔導師の方が気になった。
騎士団と契約次第でそんな関係になれるのなら、他の魔導師達も、ゆっくり生活ができるようになるはずだ。
そんなことを考えていたとき、突然、コパーメントのドアからコンコン、とノック音がした。
人だ。
今の会話を聞かれただろうか?魔導師とバレた?
心臓が飛び出そうな位動機が激しくなる。どうしよう、とルークの方に視線を投げると、
ルークはフードを被り、私にもそうするよう目で促した。
私もフードを慌てて被り、膝の上に置いた、知らずのうちに握りしめていた拳を見つめた。
もう一度、コンコン、とノック音が鳴る。
その時、ドアが勢いよく開かれ、そこには黒い同じ様なローブを着た者が立っていた。
体つきを見ると男だろう、なんて考えれば、辛うじて見えた口が弓のように曲がり、
男は素早く手を伸ばし、私のフードをバサリと取った。
突然の事に固まった私達に追い討ちをかけるように、男は言い放った。
「お前ら、魔導師だろう」