好きだと言う前に
「1500万円出す、彼は私が買う。」


「お、お嬢様っ!?」


クリスは驚いていた、それもそうか、いきなり私がそう言ったのだから。



「お、おぉ、みなさんは?」


「……。」


「決定のようだな。」


「よーし!こいつを買うのは若いお嬢様だ!!」


周りが悔しそうに拍手をする。


そんな中私は、彼に近づき、座って目線を合わせた。


「立てるか?」


「……はい。」


か細い声だった、でも、とても綺麗な声。


私は立ち上がり彼に手を差し伸べる。


彼は、その大きな手をゆっくりと乗せ、立ち上がった。


私よりも遥かに高い身長の彼は、私を見降ろしていた。


「ああ、代金の明細は家に送ってくれ、東条桜の家だ。」


「東条家のお嬢様……!?これはこれは、かしこまりました!」


商人はそう言ってにこりと笑った。


そして彼の足枷を外し、『ありがとうございました、またどうぞ。』と言った。


「行こうか。」

彼の手を引き、歩き出すと、唖然としていたクリスも慌ててついてきた。


「お、お嬢様!大丈夫なんですか?旦那様に何も言わずに奴隷など買って…。」

「いいだろう、今日はもともと先週の私の誕生日に選ばなかったプレゼントを見に行く予定だっただろ?」
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