それはきっと37℃の


「何してんの?」


考えるより先に、話しかけていた。

自分の声に少し驚く。


あたしの声で振返った彼の顔には、もっと驚いた。




なんで? なんで泣いてんのよ?




「海を見てるんだよ」


あたしの驚きなんて、気にもとめない様子で、彼はサラッと答えて、また海の方へと向きなおす。


心臓が、


バクバクしていた。




我に返って、どうしようと思う。

自分から話しかけたこともあって、このまま放っておくのも、気が引ける。


とりあえず、彼の隣に腰を下ろした。


彼はあたしを見ない。
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