love square~四角関係なオトナ達~
「べ、別にあたしはいいけどっ!工藤がシたいなら、どうぞご自由にっ」


「では、忠告その1。これから私はいつでも姫葵さんを抱けるので、嫌われてる今、焦る必要はありません。挑発はおやめください」


「まるであたしが工藤を嫌いじゃなくなる日が来るみたいな言い方ね」


「忠告その2」


工藤が近づく。あたしの右耳をくすぐるように舌で甘く撫でて。


わざと低く囁く。


「年上なので」


「…?」


「一応年上なので“さん”付けで」


「は…?」


「工藤“さん”です」


「ヤ」


「では、いつかそうなる日のために、下の名前で」


「そんな日、来ないもん」


「私の計算では、3ヶ月以内です。琉偉、と」


「どいてよ、工藤」


「呼ぶまでどかない、と言ったら?」


そう囁く工藤の唇は、あたしの右の耳たぶを甘く噛んでやめようとはしない。


「…ん…」


「ふーん。耳、感じますか?」


「ちが…っ!アッ…ん…っ…!」


唇は一気に下へ、あたしのレースニットの首を捲って強く噛みつくように吸いついた。


「ク…ドウ…ッ…!」


「フッ…呼ばないんだ。私も簡単な女は好きじゃない。今のところはキスマークと引き替えに、工藤でいいですね」


じゃあ、ルームサービスは適当に私の方で、と。


あたしの首元に熱だけを残して、さっきまでの工藤に戻った。


何もなかったみたいにするから。


あたしだって何もないフリをする。


本当は耳たぶに、首元に、妬けるように唇が残ってるくせに。


気づかれないように。


胸の鼓動を押し込めて、わざとらしく大きくあくびしてみたりして。
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