love square~四角関係なオトナ達~
「ねぇ、工藤」


「はい、姫葵さん」


「パパ、どこ?」


「そろそろお昼なので、事務所の方へ戻っておいでかと」


「そ。じゃ、連れてって」


「また抱けと?」


「あたしの靴置いてきたの、誰?」


「はいはい。仕方ありませんね。しばらく抱っこの機会もありそうにないので、今日のところは私が」


運転席を降りて助手席のあたしをたやすく抱き上げる工藤に、筋肉痛の痛々しさなんて感じら
れなくて。


スーツの中の腕がちょっとだけ逞しいのかな、なんて想像してしまう。
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