love square~四角関係なオトナ達~
⑦人形の傷
気まずい…。


非常に気まずい…。


朝こっ早くから工藤の部屋の前で鍵を握りしめたままのあたし。


結局、昨夜はあのまま中断、何もせずに終わった行為に慌てて、


「おやすみなさいっ」


を言って部屋を出た。


まさかの生理での中断、できなくはなくてもできるものでもなく。


どんな顔を合わせたらよいものか…。


───カチャ


不意にドアが開いて手が伸び、あたしはあっという間に部屋の中。


「いつまで外で立ってるつもりですか?不審です」


「あ、あっ!えっと…おはよ…」


「おはようございます。早く朝のキスが欲しいのですが」


「えっ!?」


言うや否や腰を引きつけられて朝のキス…!


「何ですか?その警戒態勢は」


「け、警戒ではなくっ!その…ビックリ、して…」


「フッ…。今更ビックリもないでしょう。姫葵さんとのキスは、もう数えきれませんよ?」


「そう…だけど…。工藤とのキスは…なんかいつも初めての味で…」


「そうですね。私もです。日ごと季節ごと変わっていく天気のように、いつも新鮮です」


「…同じ…?」


「はい、同じです。同じついでにもっと味わいたいのですが」


迫る工藤に思わずのけぞって唇を避けてしまう。
< 160 / 240 >

この作品をシェア

pagetop