love square~四角関係なオトナ達~
「なぜ?」


「あ、あのねっ。ムリ…」


「私とのキスは嫌い?」


「じゃなくてっ!じゃなくて…ムリ、なの…。止まらなくなって、その…それ以上おねだりしたくなったら困る…じゃない…」


「それって、盛りのついた男のセリフでは?」


「わ。悪かったわねっ!旬な乙女の発情期よッ」


「朝からずいぶんと過激な発言ですね」


「とにかくっ!ちゃんとおはよう言ったからッ。あたし、行くねっ」


「誰と?どこへ?」


「いく兄ちゃんと…病院と美容院…」


「髪?」


「昨日、塩酸で脱色しちゃって…。切るしかないの」


工藤があたしの長い髪に触れてキスを落とす。


きっと髪まで、って。


心を痛めてる。


「ホラ、夏だしっ!北海道戻って来て気分転換にもいいかな、なんて」


「またすぐに伸ばしてもらえますか?」


「工藤が伸ばしてほしければ…いいケド…」


「クドウ?」


「…え?」


「昨夜は名前で呼んでもらったはずですが」


「だから、アレはっ!もういいのッ、行ってきますっ!」


───バタンッ


ドアを閉めていく兄ちゃんの部屋へ直行。
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